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『Clean』 |
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今日、夫が「今夜映画にでも行く?」と言うので、あまり良い映画も無いこのごろ、結局『クリーン』を見に行くことに。 ロサは、わたしがパリに来て語学学校へ行き始めた時に最初に出来た友達。香港出身の彼女は英国の教育を受けたことに誇りを持ち、自分が「中国の国籍」を持つことを恥じている。毎回書類を作る度に「国籍記入欄」に「中国人」と書かねばならない自分の運命を恨めしく思っていると言う。彼女は2度離婚し、フランス人に求婚され、それを受け入れてフランスに来た。彼女は自分の夫のことを「メ同居人モよ」と笑い飛ばす。生い立ちから今に至るまで、流浪の人といった感じの彼女。そんな彼女は息子と娘を香港に残して来ているので、時折子供たちのことをわたしに話す。特に、まだ幼い男の子のことを。彼女は息子がかわいくて仕方が無い。息子はいつも太陽のように微笑んでいるから、と。そんな子を置いて遠く欧州に来なければならなかった彼女。 暗闇の中、映画は淡々と進んでいった。ヤク中の女性の話だからもっと激しい部分もあるかと思ったけれど、どちらかというと、けだるい雰囲気とやるせない悲しみに満ちていた。そして、そんな雰囲気が、ロサがわたしには見せない部分なのではないかと、ふと思った。
ロサはフランス国籍を取得するため申請している。「中国人」と書きたくないから。香港は一都市であり、国には成り得ないと彼女は言う。英国のパスポートを持っていた彼女だが、その有効期限はもう切れてしまった。もう、英国人とは言えないのだ。だから彼女はフランス人になろうとしている。「中国人でいるより、フランス人でいるほうがメリットが多いからね。」簡単そうに言う彼女。
映画を見ていて、どうしても気になった、マギー・チェンのネックレス。どうも、あの日ロサが身につけていたあのネックレスに見えてならない。
2004.9.8. ジョリ |
映画工房カルフのように
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