それでも俺らはトボトボ歩き続けたわけですよ。
もうかれこれ1時間半くらい歩いてますからね、後戻りもできないんです。
後ろを振り向いても延々、道。
前方も延々、道。
右を見たら、雄大な山々。
左を見ても、雄大な山々。
仕方ないから上を見るわけですよ。
雲が覆っているけれど、でも日ざしの照らす力がそれを押し退けてる。
ちょっと荘厳な気分になってきました。
これも、神々の力のお陰に違いありません。
しかしですね、
相変わらずですね、
人もいなければ、
車の通らないわけですよ。
車が通らないのは非常にありがたいんですよね。
だって・・・
歩道なんてないですから。
カラスも笑ってる。
てゆうか、お前ら俺の周りに多すぎ。
岩手に着いた時も、頭上を飛びまくってただろ。(→遠野編(1)参照)
まあでも、1.8kmという標識を見て元気が出ましたよ。
そんな距離なら、歩けます。
だいたい、そんな距離、小学生や中学生が学校のマラソン大会なんかで走る程度の距離じゃないですか。
俺は歩く、っつー話ですよ。
そんなもん走れるか、っつー話ですよ。
後ろを振り向くと、それまで歩いて来た俺の道のりが延々続いているのです。
♪ はぁーるばる、来たぜ、遠野ーーーー!(字足らず)
そりゃ叫びたくなりますよ。
すっかり目的を忘れかけてましたが、
カッパです、カッパ。
おーい、いるかー!
ようやく看板や町並みが復活して来て、ほっと一安心。
食事も満足にとってなかったので、食事処に入り、『ひっつみ』という食べ物を食す。
山梨の『ほうとう』に似た、それより荒削りな食べ物で、なかなかうまかったです。
ここに、写真はありません。
そんな余裕もなくがっつきましたから。
ひと息ついて店を出ると、
みんな車で来てるワケですね。
しっかりと帰りのバスの時刻をチェックして、もっと書くと帰りのバスが2時間後だとチェックして、カッパ淵を目指しました。
カッパはどうやら、常賢寺というお寺の裏に住んでるらしいです。
裏手に回ってみました。
静かな林が続いています。
どれどれ・・・
カッパやーい!
こんな細いとこにいるわけないか。
お、それっぽいとこに到着。
ここがカッパ淵です。
↓↓
ちなみに我々以外だーれもいません。
辺りはほんと、静かなもんです。
足を止めて目をつむると、木々がさわさわ鳴っているのに合わせて、川がぞろぞろ音を立てているのが混ざって聞こえて来ました。
さわさわ・・・
ぞろぞろぞろぞろ・・・
カッパって、河童って書く。「かわ・わっぱ」がまざって『かっぱ』になったのか。そうかそうか。
そんなことをぼんやり考えてました。
外は暑く、でもここは木立に囲まれてひんやりしてます。
ほんの少し歩くと、絵になる場所に来ました。
カッパの像もいくつか立っています。
この遠野の町のあちこちに建てられたり描かれたりしているカッパも、一つ一つデザインが違います。
やはり、自分のイメージの中のカッパに出会うべきだな、そう思ってカッパの像の写真を撮るのを止めました。
ふと気が向いて、違う設定でもう一枚。
デジカメですら、ちょっと設定を変えるだけでこんなにも違う絵になる。
人間もほんのちょっと見方を変えるだけで、今まで見えなかったものが見えるんじゃないか。
そんな気がしてきました。
別にカッパはこのカッパ淵だけじゃなくて、日本中に伝説がある。
神様や伝説上の生き物は、きっといるんじゃないかって気がします。
それは、それらを信じる一人一人の頭の中にあって、それぞれ違った姿をしているワケです。
あ、俺、ここでカッパに会ったんだ。
ぞろぞろいっていた川の音は、林をぬけた途端にちゃらちゃらという軽い音に変わりました。
気が向いて、和製『グラディエーター』の写真を撮りました。
↓
分かるひとだけ、分かって下さい。
******************
帰りは現地のひとに混じってバスを使いました。
15分で遠野駅に戻って来ました。
遠野駅のロッカーから荷物を引っぱりだしてガイドブックをチェックしました。
徒歩25分、のどこが間違いだったのか。
えー、レンタルサイクルで25分と書いてありました。
しかし分かりにくい表記だなあ。
すぐ隣に『散策ルート』って書いてあるんですよ!
徒歩で行けると思っちゃいますよね!!!
歩いて1時間40分くらいかかりましたよ!怒
俺ですね、ずうっと今まで一人旅は行き当たりばったりでやってきたんですね。
一人旅はハッキリ言ってどうなろうとどうでもいいので、何が起ころうと自己責任なので、何も予定を立てずにきたんですが、さすがに連れが出来てからはそうもいかないですからね。
ある程度ガイドブックやらそういった類いのモノを使い出したんですよね。
しかしそれでもこうやって迷ったり疲れたりするのはどういうことか。
今までは行き当たりばったりだから気付かなかっただけで、
俺は根本的に地図が読めない男なのではないか。
ふとそんな予感がしたものの、ま、いいやと帰途につきました。
不思議の町、遠野を離れ、普段の自分に戻っていきます。
日ざしがとてもゆったりしてました。
(完)
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