ホーム突撃!映画体験隊八百万の神々に触れる旅

『千と千尋の神隠し』的・八百万の神々に触れる旅〜遠野編 (1)

挑戦者:工房の主人




↑『千と千尋の神隠し』に登場する、『おしらさま』
東北、関東、中部地方などで信仰されている神様らしい。

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八百万(やおよろず)の神々に会いに行く前の晩、突然眼鏡のつるが壊れた。

眼鏡を外した途端、ぽろ、と外れたのだ。
眼鏡屋さんに行く暇もなく、仕方なく針金で応急処置をした。



しかし旅行の前日の晩である。
八百万もいるわけだから、そのうちの一人はこの眼鏡にもいらっしゃるわけかな、と思った。

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ふっと、普段と違う異空間にいる自分に会いたくなる時がある。
そんな時は旅に出る。

俺も日本人のはしくれとして、一目でそれと分かる日本人名を持って生活している。
しかしその名前も、旅先では存在感を消してしまう。
どんな大層な名前を持っていたって、有名人じゃない限り旅に出た途端名前は吸い取られ、そしてただの「一人」となって景色に溶け込んでしまう。

『千と千尋の神隠し』で、主人公の女の子・千尋が不思議の町で名前を奪われてしまう。
その感覚を、俺たちは普通に旅先で味わうことができるのです。
しかも、不思議の町と言ったって、そこはどこか知っているような場所。懐かしい匂いのする場所。

というわけで、今回は東北を目指した。



広島生まれの俺は、そっち方面にはどうも、疎い。だから行きたくなる。


行き先は、岩手は遠野

何を隠そう、俺は小学校の頃から民話・昔話の類いのスーパーマニアである。
映画に出会っていなかったら今頃は、『民話工房カルフのように』なんていうサイトを作っていたに違いない。
そして各地を回って民話を聞いて周り、それが高じて民話を自分で文章にし始め、やがては仲間を集め、それを映像作品にしていたに違いない。

・・・あれ

というよりですね、
ここで告白してしまうとですね、
『民話のスーパーマニア』と書いといてナンなんですけどね・・・

柳田國男の『遠野物語』、読んだことないんですよ。

いや、その、何十冊も民話や昔話の本は読んできたんですよ。でも、その、なんつーか、たまたま『遠野物語』が含まれてなかったんですよね。あははあはは。
いや、確かにまずいですよ。
だから、新幹線のホームにある本屋さんで買っていこうと。
行きに読んでしまって、着いたら

「なるほどねー、ここがあれか。ふーん、なるほど・・」


と柳田國男先生ばりにうなづくっつー戦法ですよ。

ところがですね、
普通あると思うじゃないですか。
東北に向かう新幹線のホームの書籍のラインナップですよ、宮沢賢治と柳田國男で壁一面埋め尽くされてるはずじゃないですか!!

なんで西村京太郎なんですか、斉藤栄も結構です、ゴルゴ13はその巻はもう読みました!

仕方なく雑誌を買って新幹線に乗り込みました。民話ではないけれど、現代の寓話を読むことに致します。

 



ふと外を見ると、すでにビル郡は消えてました。



いいですねー。旅愁をかきたてられますねー。
ま、このくらいだったら西に行っても東に行っても変わらないんですが、でも素敵です。ほっとします。
『和』のDNAがヨロコビます。

でまあ、今回の体験隊のテーマなんですが、

八百万の神々に出会いに行こう

です。

神様と言っても、それはその土地その土地の信仰・文化に基づいたもので、妖怪や伝説上のいろいろとも密接に関係してる。
遠野は民話・伝説の宝庫みたいだから、その辺をいっしょくたにしていろんな『神々』に触れてこようかなと。


で、『千と千尋の神隠し』である。
この映画は、出てくるキャラクター達(神々も含めて)が魅力的である。
民話・昔話には妖怪や神様がたくさん登場する。
そもそも日本はそこかしこにそういったものがいる(いらっしゃる)国なのである。 だから、会いたい。
遠野に近い花巻の出身である宮沢賢治の詩をまねるなら、

ウソニモ負ケズ
ヤジニモ負ケズ
常識ヤ騙シニモ負ケヌ 情熱ヲ持チ

遠野ノ町ヲトボトボ歩キ
何モ見ツカラナクテモ ヘート言ヒ

野々山々ニ棲ンデイルデアロウ妖怪ヤ神ノ類
サウイウモノニワタシハ会イタイ

作:工房の”賢治”主人

っつー話ですよ。

そして新幹線は『新花巻駅』に着きました。
いきなり俺の瞳をくぎづけにしたのが、鹿踊りです。

かっちょいい!

だいたい俺は鹿の角に弱いんです。
武将のかぶとだって、真田幸村のつののはえたやつが一番好きなくらいです。

これ、『千と千尋〜』のキャラにすると、こんな感じでしょうか。


しかし八百万の神に会うと言ったって、とにかく数が多い。

遠野なので、とりあえずひとつだけ選んで、カッパに会いに行くことにしたのである。

(続く)


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