ホーム突撃!映画体験隊 寅さんの故郷を訪ねる(3)

風の吹くまま気の向くまま〜寅さんの故郷を訪ねる(3

挑戦者:水無月朋子


帝釈天〜とらや・高木屋

寅さんが産湯を使ったという柴又帝釈天、題経寺(だいきょうじ)に足を踏み入れる。源公が庭を掃きまくっていた場所である。釈迦堂や二天門には木彫りの十二支や浮彫装飾が施されていて、寅さんファンならずとも一見の価値がありそう。お参りの人でにぎわう境内も奥へ進むとさすがに静謐な雰囲気で、どこからか御前様が出て来るのではないかという感じである。

入口で佐藤蛾次郎になってみる

境 内

帝釈天の鐘

ぐるっと一周見学した後、形どおりにお参りをしてから、かねてから「寅さんと同じお守りが欲しい」と言っていた中舘氏の希望でお守りを見に行く。
「寅さんで使ってたやつはどれですか?」
訊ねる中舘氏に、美しい巫女さん…もとい、元・美しい巫女だったと思しきおばちゃんは言った。
「あー…あれはお土産物屋さんで売ってるんですよー」
ここで買わずに土産物屋でどうぞとは何という気風のよさ…というか、商売する気のなさも甚だしい。けれど中舘氏はさらに食い下がる。
「土産屋さんの中身はニセモノですよね?中身だけって売ってますか?」
「ありますけど…」
中身は帝釈天の本物を、外見は映画と同じ物を、どうやら別々に買おうというのだ。ものすごい執念である。かくして中舘氏はお守りの中身だけを購入。

そろそろお昼時でお腹も空いてきた。参道を引き返し、「お昼はここで!」と決めていた高木屋ととらやの間を行ったり来たりする。高木屋さんの店内には撮影当時の写真がたくさん飾られていて、端からじっくり見てみたい誘惑に駆られるが、とらやさんは撮影に使われていた本物。どっちにしたら良いものか、ものすごく迷う。高木屋さんはお団子、おでん、ところてんなどの品揃えで、どっちかというと「ちょっと一息」系。とらやさんは定食や麺類などの「しっかりごはん」系。お昼時ということもあって、結局とらやに決定。メニューはもちろんうなぎである。旅の途中で全財産を使い果たし、戸板に乗せられて帰って来た寅さんがむさぼり食っていたあれである。見渡せば、店内には当時のポスターがぎっしりで、さらには実物だという「とらやの階段」がそのまま残されていた。

とらや店内。ポスターとおばちゃんがいっぱい

うな重¥1550也。アルミのトレイが投げやり感満載

とらやの階段。実物だそうです

店の中には樽で漬け込んだようなおばちゃんがざっと10数名。そこへ外国人観光客が訪れた。とたんに騒ぎ出すおばちゃんたち。「嫌だわ〜英語勉強しなくっちゃ」「そうね、やらなきゃね」「やらなきゃね」「やらなきゃね」おばちゃん特有のそうねそうね話法で「やらなきゃね」の波状攻撃が店内を覆いつくす。下町のおばちゃんはとにかく元気なのである。

店を出た私たちは、せっかくだからと名物・草団子を食べ比べてみることにした。この界隈は草団子におしょうゆと刻み海苔をまぶした「いそべ」が名物らしい。早速購入して一口…。草団子はできたてでやわらかかったけど、わざわざ醤油味にしなくてもいいだろ、という味わい。
はっきり言って「うままずい」( ©にゃろ
め@映画体験隊・大阪名物食べ尽くし大作戦) 名物にうまいものなし、である。口直しに普通の草団子を齧りつつ、てくてくと江戸川土手を目指す。

草団子。そこらじゅうで売っている

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