ホーム突撃!映画体験隊 「大阪物語」〜大阪名物食べ尽くし大作戦〜(2)

「大阪物語」〜大阪名物食べ尽くし大作戦〜(2)

挑戦者:にゃろめ


三つ目のターゲットは織田作之助の「夫婦善哉」に出てくる名物ぜんざい。
甘いものはいやや、もう食われへん、と尻込みする相棒を強引に説得して店に入る。
「一人前注文したら二椀ついてくるから一椀ずつ食べたらいいじゃん」
相棒「・・・」

まだ注文してないはずなのに二人前運ばれてくる。
不思議に思いながらぜんざいを食べる私。腹をくくったらしく黙々と食べる相棒。
店を出てから彼に訊ねる。
「ねぇ、何で注文してないのに二人前きたのかな?」
相棒「あんな、何で夫婦善哉ってゆうか考えてみぃや」
「?」
相棒「二つの椀で一人前だから意味があんねんで」

「夫婦善哉」に出てくる蝶子の科白がふと頭をよぎる、「一人より夫婦の方がええいふことでっしゃろ」

「なんで言ってくれなかったの!」
相棒「言えるわけないやろ」
私は根本的なミスを犯していたのだ。こともあろうに店内で一人前を二人で分けたらいいじゃんと声高々に主張していた ・・・
旅の恥は掻き捨て・・・

続く四軒目は「551蓬莱の」豚まん。
店の前には人が溢れ、中からいい匂いが漂ってくる。さすがに腹もふくれたので持ち帰りにしてもらう。
も〜ええやん、という相棒の声を無視し次の店へと向かう。


五軒目は「会津屋」のたこ焼。
昭和八年創業のこの店は大阪で一番古いたこ焼屋だ。
「探偵ナイトスクープ」によると大阪の一般家庭の8〜9割にはたこ焼器があるそうな。
もちろん相棒の家にもあるらしい。こちらも持ち帰りにしてもらう。

食べ疲れ、歩き疲れた私達はミナミを後にした。
大阪に何を観光しにくるかわからへん、と相棒はいう。
彼にとってそこは見慣れた風景であり生活の拠点。私にとっては新鮮な大阪特有の泥くささは彼には当たり前のこと。
下手な関西弁でいっぱしの関西人を気取ってみても私はそこには入っていけない。だからこそ心惹かれるのかもしれない。

宿に戻った私たちは冷めた豚まんとたこ焼を食べた。
無理やり付き合わされて始終仏頂面だった相棒が幸せそうに言った。
「蓬莱の豚まんはほんまにうまいな」
「やっぱ好っきゃねんな」

こうして『大阪名物食べ尽くし大作戦』は無事終わりを告げた。

 


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