ホームカルフの最新作役者紹介『菅田茂』役

演じる時には役の精神まで考える。
自分とのバランスが難しい


安藤 彰則あんどう あきのり

 数々の映像作品に積極的に出演するかたわら、『NO-TENKI』というユニットを指揮。また脚本やコラムなどの執筆活動でも非凡な才能を発揮している安藤彰則さん。インタビューの合間にも、ご自身の脚本製作についてや、役作りや演じるにあたってのこだわりなど、たいへん興味深いお話を聞かせて下さいました。



―最近のお仕事の状況を教えて下さい。
 昨日まで映画の撮影に行ってました。仲間由紀恵さんの『g@me』って映画に刑事役で出てます。石橋凌さんと一緒に犯人のいるところに踏み込んで、犯人のIZAMを僕が取り押さえる…っていうシーンで、4:30出発っていう早朝ロケを3日間やってきました。


―舞台でも活動されているとのことですが、元々は映像を?
 うん、映像。映画がやりたくてこの世界に入ってきたから。舞台も好きだけど、舞台でメシを食うってことは考えてなくて。舞台っていうのはあくまでも自分たちのレベルアップを計るものって感じなんで、映像の方を主に考えてて、芝居も演劇もいいけど、食える役者を目指すんならやっぱ映像出なきゃだめだって感じですね。自分のやってるユニットでは年に一回は自主公演をやっていこうとは思ってますけど。脚本とか書くの、基本的に嫌いではないんで。


―『NO−TENKI』っていうご自身の団体もお持ちなんですよね?
 うん。最初は、僕よりも若手の子が「一緒に舞台やりましょうよ、やりましょうよ」って、自分の周りに集まってきたのがきっかけだったんだけど「おもしろい脚本を書く人がいたらね、出会ったらね」って感じでずっとやらなかったんですよ。でも、なんかふと急に一本書きたくなった時があって、そのまま勢いで「やるぞ!」ってみんなに声かけて。まだ脚本も1ページ目しか書けてないのに劇場押さえちゃって(笑)。100万近い劇場だったから大変だったけど、とにかくバーッとやっちゃった感じですけど(笑)


―お忙しくされている安藤さんですが、カルフとの出会いは何だったんでしょうか?
 今回主演してる久喜役の向出淳卓が三年くらい前かな? クレイジー・クライマーっていうのをやってる時にオリカワ監督が見に来てて、その時に紹介されたのが最初で。…で、去年撮った「上向キッ!」にワンシーンだけ参加したんだけど、今年は本気でカルフとやってみようかなって思って。でも僕も「何でもかんでもやりたい!」ってところではないんで…。大げさに言うと「自主映画やりませんか?」っていうのを全部出てたら年間10本くらいになっちゃうから。


−では出演を決める「決め手」みたいなものは何なんですか?
 その団体がどのくらい本気でやってるかってことかな。今回、オリカワさんが脚本とかコンテとか送ってくれて、どこの映画祭に出して、とか、写真展も開いて…とかね、この団体を一歩上の段階に持って行きたいっていう熱意を感じたんで、じゃあ僕なんかで協力できるんなら協力しますよっていうね。
 本気でやろうとしてる人たちの所には自分も参加できたら嬉しいなって思うし。もちろん今回の役がワルの主犯っていうのもあったから。最近自分がTVとかの世界でそういう役をよく振られるんで、これはいい機会だから自分の勉強になるかなっていうのもあって。「この役は僕で行きたい」って言ってもらうと演じる方としては嬉しいし、それには応えたいなぁ…と。


−では、悪役を演ることはご自身にとってプラスだったと?
 …どうなんでしょ。僕は時代劇をずっとやってたから、仇役っていうのはずっと憧れてた時期があって。いわゆる越後屋さんみたいな「えっへっへ…」みたいなね。そういう芝居をやってる大先輩から「おまえ仇役やれ、仇役やれ」ってずっと言われてて、自分は決して二枚目ってキャラではないと思うから、自分の中の個性を生かしたものを演らないとって思ってね。ただ自分でも自分のキャラよく判ってないから、自分が仇役をやったのを自分で見てみたいっていうね。


―今回の役を演じるにあたっての見せ場などはありますか?
 うーん…。僕が菅田だったらっていうのを考えると役の精神分析まで考えちゃうんですよ。ワルの人がやるワルっていうのを考えると役の精神分析まで行っちゃって、自分の中でバランスが取れなくなっちゃうんで、その辺は監督にお任せして、とにかく悪役に徹したって感じかな。


―ではこれをご覧になって下さっている方に一言お願いします。
 娯楽作品として堅苦しくなく、気軽に見て楽しんで見てもらえるといいなと思いますね。世の中で、久喜仁や山崎みたいに夢破れそうな人がいたとして、そういう人たちにエールを送れたらいいですね。応援歌になれば…って思ってます。


−まだ撮影は続きますが、今日はお忙しいところありがとうございました。
 こちらこそ、ありがとうございます。
 (2003.09.06・撮影現場の休憩所にて/取材:水無月朋子)



安藤 彰則 (あんどう あきのり) 1969年4月30日生まれ 京都府出身
NHK『必要の無い人』『加賀百万石』『歌謡コンサート』『公園通りで会いましょう』、NTV『長七郎江戸日記』『八百八町夢日記』『さむらい探偵事件簿』、TBS『愛の110番』『一色京太郎事件ノート(シリーズ レギュラー)』『水戸黄門』『大岡越前』、CX『編集王』『ナースのお仕事3』『荒木又右衛門』『銭形平次』、ANB『暴れん坊将軍』『遠山の金さん』など、数々のTVドラマや、映画『13階段』『およう』等、数々の映像作品に出演する他、10月11日〜19日にはシアターブラッツにて舞台『今世紀最大の30分3本勝負 男と女のデスマッチ』の第二部『ジュリエットと幽霊 ハムレットと幽霊』に出演。また11月8日より東宝系にて上映される『g@me』では刑事役として出演している。アクターズ・オフィス所属。



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