ホームカルフの最新作役者紹介 『安』役

葛藤はあると思うけど、
真剣に演じる自分を見てみたい


梅津 直人うめづ なおと

 普段はコメディアンとして活動されている梅津直人さん。インタビュー時間はなんと4時間あまり。映画のパロディから数々の企画、はたまたご自身の新ネタへと話は飛んで、その間じゅう天性のエンターテイナーぶりで笑わせて下さいましたが、役者としてのこだわりもしっかりと感じました。



―普段はコメディアンをされているとのことですが、活動されるようになったきっかけを教えて下さい。
 いや、元々は役者志望で、中学生日記に出たかったんですよ(笑)。どこのプロダクションも中学生日記につながってると思って、だけど違う事務所に入っちゃって。当時20位だったかな?


―その歳で中学生日記は無理じゃないですか(笑)
 だってほら、歳ごまかしてる人もいっぱいいるから出れると思ってたんだよね(笑)…で、ある映画のオーディション受けて合格って言われたのに、午前と午後と40人くらいづつ合格者がいるんですよ。なんじゃこりゃ…ってくらい。で、そこで何ヶ月かレッスンしてたんだけど、コネのあるやつとか特定の生徒にしか仕事が来ない。何か違うんじゃないかこの事務所…っていう。
 で、クラスみんなで団結してその事務所を辞めて。その後、別の劇団に移って1〜2年くらいいたんですけど、公演とかは特に無くて。…で、そこも辞めた時に知り合いの演出家から連絡があって、おもしろいこと何かやろうぜっていうことになって歌あり芝居ありお笑いあり、みたいなライブやったりしてて。実際、こっちが笑わせようとするのが見えちゃうとお客さんが笑わない。それがものすごく難しいと思ってた時期だったんだけど、そこに若手の芸人を探してるっていうプロダクションの社長が見に来てて、ウチでやんないかって話になって。そっからですね、本格的にお笑いの方に入ったのは。


―最近の活動はどんな感じですか?
 一昨年くらいまではお笑いを「エルビス」ってコンビでやってて。その頃はコント作ってライブやったり、イベントのMCやったり、雑誌に連載持ってたりしてたんだけど、相方との方向性の違いっていうのかな、そういうのを感じて一度活動休止って形を取って。
 でもコントはずっとやって来たんだからそれは続けようって思って、今は単独で1時間半くらいのライブやったりしてるんですけど、演技っていうのをちゃんとやってみようかなって思ってコントも続けながら映画に出たりして。あとは9月にロスで単独の英語のコントライブをやる予定です。うん、シチュエーションコメディみたいなやつ。


―そんなお忙しい時期ですが、この作品に参加しようと思われたきっかけは?
 一から役者をやってみようかなって思って。コントとか映画とか隔てなくちゃんとした演技ができるように、役者っていうより『演者』…ってなるまで自分を持ち上げたい、勉強したいなって。


―オリカワ監督の作品は初めてですよね?
 知り合ってからまだ2週間?くらい(笑)「Future Walker」っていう団体があって、そこにお互いアクセスしたのがきっかけで、今回オリカワさんの役者募集っていうメールがあって。
映画は一応2本出たとこで、僕はアメリカ行くぞって思ってたんだけど、たまたまそのメールを見ちゃったんですよ(笑)。…で、これはぜひ出たいなって思っちゃって。今回悪役ってことだったし、今まではいい人とかダメ人間とかばっかりだったから悪役ってやってみたくてね。役も自分で作り上げていける感じがあったからやりやすそうだなっていうのもあったし。


―役作りなどに関して考えていることなどはありますか?
 今まではどっかで絶対おちゃらけてたんですけど、今回はそれが許されない。(ここでオリカワ監督から「絶対に許しません!」というダメ出しが・笑)。そういう意味で自分の中での格闘や戦いがあると思うのね。だから、ずっと同じ表情を続けたりとか、おちゃらけない自分を自分で見てみたいんですよ。ただ、おざなりな、形だけの悪役は見たくないんで、その役の理由づけからひとつひとつ自分で作って行って、最初は冷徹で冷酷でも、どこかに人間味のある人物がいいから見えたら最高だなって思いますね。
 今までにないって言ったら難しいかも知れないけど、理想は、今までにない悪役を作れたらこれ幸いかなって思いますね。史上最高の悪人を演じられるように、画面に出てない時でもちゃんと生きて動いているように思ってもらえるような人物を演じられるようにしたいと思います。


−これからクランクインですが、がんばって下さい。
 映画の中に生きている自分を作るようにがんばります!

 (2003.08.4・池袋某カフェにて/取材:水無月朋子)


梅津 直人 (うめづ なおと) 1965年9月28日生まれ。山形県出身
お笑いコンビ『エルビス』としての活動中は、ワンマンライブを行う他、TOKYO−FM・ホットドッグプレス・講談社などのイベントMC、NHK「スタジオ・パーク」出演、数々の舞台などで活躍。また「TOKYO一週間」「ホットドッグプレス」「ViVi」に連載を持つ。現在は、パルコ8Fで公開中の『地獄甲子園』に出演中。また9月にはロサンゼルスのライブハウスでの単独ライブが決定している。



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