ホームカルフの最新作役者紹介『三島刑事』役

内定もらった時に「こりゃ間違ってる!」って…
取り消してもらいました


多根 周作たね しゅうさく

 クランクアップ直前の現場でお会いした多根さんは、とても聡明で魅力的な方でした。「今回は他の役者さんと絡む機会がなかったけど…」と苦笑いする多根さんでしたが、もっと早くお会いしたかったと思わずにいられない、とてもアトラクティブな方でした。そんな多根さんに、今回出演するにあたっての心境などを伺いました。



―まず、役者を目指したきっかけなどを教えて下さい。
 大学の時に英語をやりたくて、英語研究会っていうサークルに入ったんですよ。そしたらそこで英語のお芝居をやってて。他にもいろんなセクションがあったんですけど、そこが一番おもしろそうで入ったらお芝居の方に興味を持っちゃって(笑)  でも、入ったからには英語でやんなきゃってことでやってみたんだけど難しくて(笑) 英語の劇なんで、英語がネイティブみたいにならないと見れないわけですよ。例えば関西弁の芝居を、関西弁のできない人がやると芝居も下手に見えちゃうみたいな、そういう感覚で。やっぱり英語って母国語じゃないから、感情移入とかがすごく難しくて。でも僕はそれは言葉のためだとは思わなくて、「お芝居って難しいなー」って思ってたんだけど、一度日本語でやる機会があって、やってみたら「これはおもしろい!」と(笑)。


―で、お芝居の方に入ってしまった、と?
 そう。で、これはこのままやめるわけにはいかないって思ったんだけど、その時はもう就職活動とかしなくちゃならなくて、何か違和感を感じながら就職活動もやってたんだけど、内定をもらいだしたら「こりゃもうだめだ〜!」って思っちゃって。もらっちゃダメなのに、もらっちゃったら引いちゃって、「こりゃ間違ってる!」って(苦笑) だから「すみません、取り消して下さい」って(笑)。その時点で(就職活動は)もう止めようって思って、で、その時にたまたま募集してた養成所があって、そのオーディションを受けたら受かっちゃって、大学4年の時にそこに入って…って感じで。


―カルフとの出会いはいつだったんですか?
 ESSっていう英語研究会が大学ごとにあるんだけど、インターカレッジでやってる団体があるんですよ。年一回公演を打つために準備してっていう、いろんな大学のやつが集まって作る英語のミュージカルっていうね。そこで僕とオリくんが一緒にやっててっていう感じで知り合って。彼(オリカワ監督)はまだ映画はやってなかったですけど。  その後、加藤健一事務所っていう養成所に3年間いたんだけど、そこは劇団に上がれるとかじゃなくて、3年いたら卒業しなくちゃいけない。役者っていうのは元来、個人でやってくものだから、卒業したら自分で食ってけるようになれって考え方でね。3年間そこにいて、去年卒業して。…で、大学の時に一緒のサークルだった人が劇団を主宰してたからそこに出るようになって。そこ以外にもいろんなところから声をかけてもらって、去年は全部で6本くらい芝居に出ましたね。今はその「不消者(けされず)」っていう劇団にレギュラーメンバーっていう形で出たり、それ以外にも他の芝居にも出してもらったりしてますね。うん、そんな風に舞台やりながら、今年は映像やりたいってことで、TVの連ドラとか出たりしてたんですけど、今年はあと一本舞台があるんで、今はそっちって感じですね。


―舞台でお忙しい中、この作品に出演しようと思われたきっかけはなんだったんでしょう?
 今はとにかく芝居をやれる機会を探してるって感じなんですよね。でもオリカワ監督は全然連絡くれなかったんですよ(笑) でもやってるのはずっと知ってたんで、上映会とか僕も行ってたりして、おもしろいなって思ってて。でも僕も地方に行ってたり、スケジュールが合わなかったんですけど、いつかお互いにやってる限りはいつかやらしてもらいたいなって思ってたんで、今回の話をもらって「もうぜひぜひ!」ってことでふたつ返事で、どんな役かって聞く前に「やる!」って言ってました(笑) だから、別に三島刑事がやりたい!っていうよりも、もっと大きな意味でカルフの作品に参加したい、みたいな。


―それがすっごい変な役だったらどうしました? ものすごい汚れ役とか(笑)
 どうだろうね(笑) あ、それでもやってたんじゃないかな(笑) 前の作品とか見てたんで、どんな役でも楽しんでやろうって思ってたんで。実際の現場もホント楽しかったし。


−三島刑事という役についてはどう思われますか?
 三島刑事は基本的に誰とも絡まないからなぁ…(笑) もう、ただ走ってるとか、ただうろうろしてるとかって感じで、何の役にも立ってないっていうね、そこがねぇ、もう本当に愛せる役ですね(笑)。


−自分の中でかなり愛してる?
 もう、かなり愛してますよ(笑) 台本読んだ時にこういう役ってかなり好きだなって。現場で映像を見てもね、「こんなちっちゃく映ったの、俺初めてだよ」みたいな感じでね(笑) そのマヌケっぷりを、またちょっと変えたりしていくのも楽しかったりして。もうほとんど「三島1人芝居」(笑) ある意味すごい注目のキャラクターかもしれないです(笑)。他の出演者も誰も知らないっていう。…こいつ誰?っていう。上映会の時に他の共演者の方々と初顔合わせっていうのもおもしろいかも知れない(笑)


―見方によっては注目のキャラクターですが、役作りとかはされました?
 あ、昨日コメディを一本見ました(笑) マイケル・J・フォックスのTVシリーズの「ファミリー・タイズ」っていうやつ。あとは彼の自伝を読んだりとか。それでテンション上げて来ました(笑)。


−それでは、今回見てくださる方に何か一言お願いできますか。
 三島の悲しさ?(笑) 三島の人生における悲しさっていうかね、こいつは一生気づかないで生きていくんだろうなっていう、その彼のキャラクターを見て欲しいですね(笑) うん。あいつはいいヤツ(笑) そのいいヤツっていうのも説明できないし、本人もきっと判ってない。その愛べきキャラクターを見てもらって、いや、他の人と絡んでないので、メインストーリーはメインストーリーとしてそっちを楽しんでもらって、僕のところで息抜きしてもらえばって思います(笑)


−今日はお忙しいところありがとうございました。
 こちらこそありがとうございます。

 (2003.09.14・ロケ地近くのファストフード店にて/取材:水無月朋子)


多根 周作 (たね しゅうさく) 1976年5月8日生まれ 神奈川県出身
大学時代に演劇に目覚め、卒業後は加藤健一事務所に所属。現在は『不消者(けされず)』のレギュラーメンバーとして年間多数の舞台をこなす他、『真珠婦人』『顔』『動物のお医者さん』などの連続ドラマに出演。2003年10月1日よりシアターVアカサカにて『ZIPPER2 ジップアップ!↑』への出演が決定している。



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