対岸に着くと、流れに沿ってぞろぞろと進みます。
ものすごい人込みです。
整列をする警備員の人の大きな声が飛びます。
バスが止まり、どぉーっと人が降り、またどぉーっと人が乗って発車していきます。
尾道って、こんなに人がいたっけ???
僕らもバスに乗り込みます。
すごい人です。
田舎のバスで、つり革につかまってる人、初めて見ました。
「そんなの写真撮りんさんな!」
母親が小声で注意します。
サイトのネタにするんです、そんなことは言えませぬ。
「いや、そのまあ、何かね、ハハハ・・・・」
人の流れに沿って行くと・・・
お!
これだ。
遠くから見たらヘボかったけれど、こうして近付くと、なかなか圧巻です。
甲板から、尾道駅の方が見えます。
さびしんぼうな人がいたり、転校してきたり、坂を転げ落ちたり、時をかけたりする少女のいる方です。
幼い頃から、100回は軽く行っている千光寺(せんこうじ)も見えます。
ただこうやって見て写真撮ってきただけじゃつまらない。
ポスターの写真の場所を探そう。
この場所です。
どうやらここがそうらしい。
ここでいきなり分かったのです。
なんか物足りない、と思ってた理由が。
そう、司令塔がないのです。
どぉーんとそびえる塔がない。
CG合成だったんですね、あれ。
確かにあんなのを作ってるとお金がかかってしょうがない。
古ぼけた塗装も、ちゃんと美術さんが微に入り細に入り行っています。
全体としてもちゃんとリアルな出来。
拍手です。
大和の下はこんな感じ。
こっちの建築設計は大丈夫でしょうか。
ここからの光景に一番感動しました。
一瞬気分がトリップ。
そう、過ぎし日、大和はこんな勇姿を空に浮かび上がらせていたのです。
鋼鉄の巨体を。
これがベニア板でできてるなんて信じられません。
バスの運転手さんが、
「戦艦大和は惜しくも沈んでしまいましたが、尾道の大和は絶対沈みません。
浮かんできます。 」
と笑いをとってました。
撮影中、役者さんやスタッフさんたちが食べたと言う食堂が残っており、今は観光客が利用しています。
おみやげ屋さんも、ストラップやポスター、プラモデルといった大和グッズから、大急ぎで作ったらしい大和お菓子までいろいろ盛り沢山でした。
船着き場までの帰りのバスを待つ人々。
なんだかうれしくなりました。
こんなに尾道が人気出るなんて。
いつか尾道で映画を撮るのがひとつの夢です。
駅などで配られている『尾道映画ロケマップ』に載るのが目標です。
映画が完成し、
ロケ地の人々も歓迎し、
そしてセット見たさに観光客が押し寄せる。
いい組み合わせです。
僕らはこそこそ撮影するだけですから。
駅前で、東京に出てきて初めて存在を知った、尾道ラーメンを食べてきました。
豚の背油を使った、甘辛あっさり味です。
おいしい。
今回は、急に郷土心が芽生えてしまい、帰り際にこんなものを買ってしまいました。
尾道限定キティのストラップ。
さすがにキティちゃんは、ちょっと恥ずかしいです。
(おしまい)
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