ホーム突撃!映画体験隊 寅さんの故郷を訪ねる(6)

風の吹くまま気の向くまま〜寅さんの故郷を訪ねる(6
〜「ハードボイルドだぜ! 車 寅次郎。」

挑戦者:中舘基樹


「男はつらいよ」を初めて観たのは何歳ぐらいだったのだろう?日本人なら誰でも、まるまる一本はどうかとして一度は観た事があるとおもう。もちろん俺がみたのもTVだった。
毎年盆や正月に「男はつらいよ 〜作」とやっていて、こどもの頃は「何で順番どおりにやらへんのやろう?」
と思っていた。なかなか一本通して観なくて、唯一全編を通して観て、内容も覚えていたのが「男はつらいよ 第27作 浪花の恋の寅次郎」だけ。あとは断片的にしか観ていなかった。
しかし俺の頭の中では「寅さんこそがハードボイルド、男の中の男!」という図式が十年程前から出来上がっていたのだ。

去年、他団体で自主映画を撮ることになり、製作にもちょっとだけ関わったことがある。その時に「中舘はどんなのがやりたい?」と聞かれ、即答で「ハードボイルドな“男はつらいよ”」と言ったのを覚えている。
そして水無月女史に俺のやりたい事を説明する為にレンタルビデオ屋で「男はつらいよ」を三本ほど、マドンナ重視で選んで借りてきたところ、渥美 清さんが亡くなられて何年も経つのに、改めてものの見事に嵌まってしまったのだ。
さてそこから、家からカブ70で八分程のビデオ屋に、毎週水曜レンタル半額セール時に「男はつらいよ」を3〜5本借りに行くことを自らに課すことになった。

全48作(特別篇とTV版第一話も観たので丁度50巻分)観るのに三ヶ月ちょい、我が家では連日「泣いてたまるか1 寅さん男祭!」が開催された。
全作観て、特に前半は、寅さんという男は結構だらしなく、怒りっぽく、自分勝手なわがままの権化の様な人という印象を持った。(若い頃の倍賞さんの綺麗ことキレイなこと、まるで生きた日本人形の様である!今の私の理想の女性は性格もルックスも含めて“さくら”!倍賞さんに逢いてぇ〜!)
中盤以降の印象は私の思った通りの「寅さんはハードボイルド」だったけれど。

困っている人がいればその人の家に泊り込んで助け(たいがい好きになってしまったマドンナがその家に住んでいたり、住んでいなくてもそこの家族やったりするのだが・・・)自分が好きになったマドンナに好きといわず、そのマドンナの片思いを逆に手助けしてしまい、結局なにも告げず立ち去っていく。これは男として共感できる、身近なハードボイルドな主人公だと思う。

確かに「男はつらいよ」で大爆笑はできない。しかし定番の笑いというか、お約束笑いが、何作も観ているうちに楽しくなってくる。東京の人が「関西人は何故吉本新喜劇の毎回同じギャグで笑うのかちっとも判らない」と言うけれど、あれは「あっ、ここで来るぞ、来るぞほーらやっぱり来た」というところで笑うのだ。そのギャグが面白いから笑っているわけではない。
「男はつらいよ」も同様で「あっ、ここで寅さんが表を通るな」「これはタコ社長登場か!?」と読めたりする時に、その通りになって笑い、車屋のみんながいつもの「知らんふりしよう。」でまた笑ってしまうのだ。

48作全部観るのは確かに大変だけれど、「もっちゃんのそれはどーなん?!」でも書いている通り、全作観たことによって、第48作「寅次郎 紅の花」の感動が何倍にもなる。だから是非、全作観て欲しい。今じゃなくてもいいから老後の楽しみ箱に入れておいてくれたらと思う。

東京に出てきてもう18年になるけれど、当時から行ってみたい場所の一つに入っていながら、今年ようやく行く事ができた葛飾・柴又はとても楽しく(嬉しく)半日では足りないほどだった。平日だったにも関わらず、それでもきっと全国津々浦々から人が来ているなぁという賑わいであった。また是非もう一度行ってみたい町である。






映画工房カルフのように All rights reserved ©Since 2001

ホーム突撃!映画体験隊 寅さんの故郷を訪ねる(6)