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困ったときの救世主 −お好み焼き−

ある日、うちの同居人から電話があったとき、私は打ち合わせの真っ最中でありました。
「今日の夜さぁ、後輩を家に呼びたいんだけどー」
 突然何を言い出すんじゃと思いながら、とにかく仕事が終わったら急いで帰ると言って、私は返事もそこそこに電話を切ったのです。

時間とお金と異性。仕事で失敗する原因はそのうちのどれかだと、どっかの偉い人が言っていた気がする。そいつはきっと、そのどれかで失敗したことがあるんだろう。
それはともかく、給料前の金曜。人を招待するほどお財布に余裕があるわけでもなく、仕事帰りでは時間がなさ過ぎてろくな下ごしらえもできない。それで同居人と口論になってしまっては、金・時間・異性…という失敗する三重苦が揃ってしまうではないか。こんな時、選択肢はほとんど残されていないから、困った時の救世主・『お好み焼き大名神』におでまし頂くことにした。

その夜、同居人の後輩くんと、その彼女さんはホットプレートの前で楽しそうに箸を伸ばしてくれた。後輩くんはねぎ焼きが好きだと言って山のようにねぎを乗せ、彼女さんはキムチが気に入ったようで、キムチの小鉢を離さなかった。
私がしたことといえば、お好み焼きのベースを作って野菜を切ることだけ。小麦粉を卵と水で溶いて、だしの素と解凍した山芋をちょっと入れる。山芋は一本買ったらすりおろして、キューブアイスの製氷皿で、小分けにして冷凍しておくと慌てないで済む。そこに刻んだキャベツを山ほどいれて、揚げ玉を混ぜ込んだら出来上がり。
小麦粉とキャベツの値段なんて、山ほど使ってもたかが知れている。あとはスライスした肉とシーフードミックス、キムチ、小口に切ったねぎ、スライスチーズ、かつおぶし、青のりなんかを並べれば、それぞれ勝手に焼いて食べはじめてくれる。

余裕があったら、なす、とか、ピーマン、とか、にんじん、とか…冷蔵庫で眠っている余り野菜や、ソーセージなんかも適当に切って並べておく。市販の「焼肉のたれ」や、ポン酢しょうゆなんかを出すだけで、お好み焼きができるまでの間も持つというもの。
そんな時、いつも不思議に思うのは(お鍋の時にも言えることだけど)普段あまりキッチンに立つことのない男性も、テーブルの前では進んで指揮を取りたがるってこと。同居人も例にもれず、ホットプレートの前で自ら進んでせっせとお好み焼きを焼き続けてくれていた。

そういえば、我が家ではお好み焼き以外にもホットプレートをよく使う。
たとえば日曜の朝。ワン・ダラーと呼ばれる$1サイズのパンケーキを焼いている隣でベーコンを焼く。油が多く出すぎたらティッシュで拭きながら、卵も一緒に焼いてしまう。その間にもパンケーキをどんどん焼く。ストロベリーやアプリコットのジャム、オレンジママレード、メイプルシロップ、蜂蜜なんかを適当に並べれば、それだけで立派なブランチになる。
他にも、仕事で遅くなった日には「とりあえず焼肉」とか「面倒だから焼きそば」…と、ホットプレートの出動になる。だけど、お財布が心細い時に一番頼りになるのは、なんといってもお好み焼きなのである。ビバ!お好み焼き!粉モン最高♪
…というわけで、もしホットプレートをお持ちでない方がいらっしゃったら、この機会にぜひお買い求めいただくことをお勧めする。大明神〜と呪文を3回唱える間に、なんとなく夕飯ができちゃうことウケ合いである。(ヘンな宗教の回しモンか私は)

 


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