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vol.2 「パリに海岸出現!?」

le 10 août 2004

 みなさんご存知のとおり、パリ市内にはセーヌ川という川が流れてますね。これって東京なら隅田川って感じかな?大きい川ではあるけれど、魚も住んでるらしいけど、泳げるような場所じゃない‥‥です。(濁ってるし‥‥)
でも「パリのセーヌ川」っていうとなんだか勝手にロマンチックなイメージが出来上がってしまっているのは、やはりメディアのせいかなと思う。
さて、そんなセーヌ川に、なんと「浜辺」が出現!!!  

橋から降りる階段の途中から撮影。中央に見えるのが「芝生浜」。

それは「Paris Plage パリ・プラージュ」というパリ市主催のイベントで、今年で3回目になります。セーヌ河岸にはもともと車道と歩道が設置されているのですが、その歩道部分が「浜辺」にしてあるのです。  

 どうやって浜辺にしてあるのかと言うと、まあ写真を見てもらえればわかると思うんだけど、つまり「海砂」を敷いてるんですね、単純に。
そして南国風の木を鉢植えでダーッと一列に並べてる。その「人工砂浜もどき」には寝イスやパラソルが置いてあり、すべて無料で利用できます。(パリ市の市民サービスなのでね。)  



歩道を歩くと、こんな景色です。 手すりにもたれかかって立ってる人たちは、日焼け中の「バカンス客」 を見物している人たちです。(一体どこを見てんだか‥‥)

これも橋の上からの撮影。 「バカンス客」と「見物人」が同じくらいの比率ですね。。。

第一回目は砂浜だけだったのが、第二回目から芝生も登場。けっこう 人気のようです。水着を着て真剣に日焼けしようとしてますね、皆さん。

最初の年は「砂浜」だけだったんだけど。翌年からどんどん拡張されていき、「芝生浜(?)」とか作っちゃってるし、市役所前の広場に砂を敷いてビーチバレーのコートを作っちゃってるし、さらに今年はプールまで作ったとか!?(注:子供用サイズらしいですが。)

そして今年は「パリ海岸グッズ」を売る店まで出ていて、絵葉書、帽子、Tシャツなど売ってました。普通フランス人がバカンスに行くと友達や家族に絵葉書を送るんですが、「パリ・プラージュに行ってきたよ〜」って絵葉書を送るのって、なんか笑える!!  

 市の予算を当ててこんな盛大な市民サービスをするなんて、パリ市って太っ腹!、というかフランス人の「バカンスに行かなきゃ!!」と焦っているかのような雰囲気が、日本人のわたしにはとても不思議で面白いです。でも「コラー!休むことばかり考えず、さぁさぁ働きなさいよ!」と言いたくなることも内心‥‥。  
フランス人は、夏に日焼けをしていないと「あぁ、かわいそうに。バカンスにも行けなかったのね。」と人から思われるのがイヤだとかで、やたらと体を焼きたがります。日本だと美白の化粧品が沢山売れてるくらいなのに、ねー。なんだこの違いは‥。
日本なら、真っ黒に日焼けしてると一昔前までは「農作業してる、労働してる」というイメージがあったと思うけど、フランスは昔から「遊んでるお金持ちのマダムが日焼けしてる」というイメージらしい。つまり、夏に丸1ヶ月もの間、南仏あたりでのんびり過ごすとかいったイメージ。そして白人なので、日焼けしても3週間ほどで肌が白く戻ってくる。しかも日焼けしにくい肌質。だからこそ、みんなやたらと焼きたがる。
日本人のわたしが春先に油断して、すでにちょっと日焼けしちゃったと不満を漏らしていると、フランス人の夫はやたらとうらやましがります。(わたしは日焼けなんぞしたくないのに‥‥)  


パリ・プラージュの準備の様子です。(これは写真が無かったので 2003年の時のものです。)

これは今年初登場のアイテム。霧が降ってくる装置で、暑い時にこの 下をくぐるとすっごく気持ちがイイです。服を着たままでもOK! この他、「海の家」とかにありそうな簡易シャワーもありますよ。

 まぁそんなワケで、「何かと理由があってバカンスに行けない市民のために、パリ市内でバカンス気分を味わえるように」との配慮から考案されたこのイベント、かなり好評のようです。わたしは最初「仕事が忙しい」とか「子沢山で旅費が出せなくてパリ市内に留まるしか無い」といった人たちのためなのかな〜って思ってたんだけど、実際は、市内在住のお年寄りや足腰の不自由な人のためでもあるようです。  
 去年の「浜辺」でのインタビューに90歳くらいのおじいちゃんが答えていて、「もうこの年だからね‥」って。フランスは一人暮らしのお年寄りがとても多いのです。で、このおじいちゃんも、一人で海辺へ行って過ごすよりはこうして市内の「砂浜」に毎日のように来て、子供達が騒いでるのを見るのがいいよ、と。  

 バカンスと言えば「ぼくの伯父さんの休暇」というジャック・タチの映画がありますね。(これ、ワタシ大好きなんです。)この映画に出ている様子が、まさに典型的なバカンスの姿です。夏になるとみんなこぞって電車や車で海に行きたがる。大体2週間から、長い人では1ヶ月も海辺(もしくは山)で過ごす。そんなに休んで大丈夫?と思うかもしれないけど、年休をめいっぱい使ってバカンスするのがフランス人。バカンスのために一年じゅう働いてる、とも言える。日本の「お盆に3日間」というのとはぜんぜん違いますねぇ‥‥。  

 この「パリ海岸」は、毎年7月20日ごろから一ヶ月間開かれています。この時期にパリ旅行を計画している方はぜひ、水着持参で行ってみてはいかがでしょうか?(笑)


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