ホーム映画制作講座ホラー講座〜恐怖の書き方CHAPTER

 
CHAPTER

ビシッとスーツ姿で決め、さっそうと壇上に・・・。
「講座も無事3回目を迎えました。講師の繭です!」
あれ! 誰もいない。
「みなさーん、ホラー講座の時間ですよー」
シーンと静まり返っている講堂。
一陣の風が、私の頬を撫でていく。
そうか、隠れているんですね。
「みんな、恥ずかしがり屋ですねえ。実はホラー好きだったってばれるのが、そんなに恥ずかしいのか・・・」
仕様がない(笑)。
「では、恥ずかしがり屋のあなたのために、講座を始めましょう」
※暗転。

 

恐怖を演出するために不可欠なもの?

それは、「効果」。

病院の廊下に響く水滴音。
ポタッ。ポタッ。ポタッ。
非常口の緑の灯りが廊下を照らす。
タイルの上に伸びる黒い影。
影の手、一本だけ異常に長い中指。

カメラさん、音声さん、照明さん、美術さん、メイクさん、衣装さん・・・etc。
そう、ホラーは裏方さん達の力が必要不可欠なのであります。
メインは役者より、あなた方の力。
秀作になるのも駄作になるのも、あなた方の腕次第ってこと。
こんなに撮影するのが楽しい分野は他にないはずです。
それでお客さんが怖がってくれたら最高じゃないですか、ね。

さて、今回は効果の中でも、一番使いやすい「音」に特化して語りましょう。

○音
人はなぜ音に恐怖を感じるのでしょう?
周囲が闇に包まれ、視覚を失うと、比例するように研ぎ澄まされていく聴覚。
人間は、耳から貰う情報を頼りに想像力を膨らませていく生物。
この機能を使った演出に、音は最適です。

夜、喉の乾きを覚え、ふと目覚めたあなた。
手探りで台所に行くと、ジーーーーーーという不気味な音。
昼間は感じない冷蔵庫の音。
あなたは現時点では、まだ恐怖を感じてはいない。
冷蔵庫に近づいていくあなた。
ドアを開け、冷蔵庫の明かりが室内を照らすと、部屋のあらゆる場所にべったり張り付いた蝉の大群が・・・・・・・。

聞きなれた音が、恐怖に変わる瞬間。
脳裏で描いていたものと全く別の物体から音を発していたと知った瞬間、これは恐怖に変わるのです!

他に、よく用いられる音の手法として、「ノイズ」があります。
ラジオやテレビ、携帯、CD、パソコンから発する電子音。
そこにザーと一瞬流れるノイズ。
ノイズに紛れ込んだ甲高い動物の鳴き声。
「何?」
その疑問から、恐怖は生まれます。

不快な音、人間の耳で聞くに堪えない音域。音にも様々な種類があります。音響を仕事にしたい方、自分の手持ちのカードに恐怖を引き出す音はいくつありますか?
視覚では確認出来ない状況を作り出し、耳を刺激する音を入れてあげる。ただそれだけで、ホラー映画は何倍も面白くなるはず。ぜひお試しあれ。

追伸
工房の主人さん、ホラー映画撮りたくなってきたでしょ。


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