「うげー、またやるみたいだよ!」
「まじで。人気なかったじゃん」
「第沛ヘだって、よくやるよね、ほんと」
あなたの背後に立つ、白装束の女・・・。女、音もなく忍び寄る。
「(ぞくり)・・・・・・」
あなたも物好きですねえ(笑)。文句言いながらも訪ねてくれるなんて。
つまり、ホラーに興味が沸いてきたってこと? 隠さなくても結構!
あなたの中に、そんな自分も存在していたってことです。
では、そうと分かればご期待に答えないわけにはいきませんね。
心行くまで、ホラー講座を堪能して頂きましょう!
普通の日常に潜む怖さ、それはなんでしょう。
例えば、私達が日々普通だと信じていた事が、一瞬にして覆された瞬間って怖いと感じるのでは?
さあ、一緒にイマジネーションしてみましょう。
(イマジネーション1)
あなたは今、電車に乗っている。
いつも通りの出勤風景。
蒸し暑い車内。
流れる停車信号のアナウンス。
電車がガクリと揺れ、おやじの背中に思わず顔をぶつけてしまうあなた。
顔を背けたあなたの視線の先に、飛び込んでくる裸足の足。
「!」
辺りを見回すあなた、次から次へと飛び込んでくる裸足の足、足、足。
靴を履いているのはあなただけ・・・。
裸足の足、一斉にあなたの方向を向く。
「!」
逃げようにも開かないドア。
ある日突然、靴を履くという習慣がなくなっていたら?
あなたはどんな感情に襲われるのでしょう。
「なぜ!」
という疑問が徐々に
「私だけ違う」
という恐怖に変わるのではないでしょうか。
日本人は特に異質なものを排他しようとする傾向が強いため、逃げ場のない空間で、「自分だけ違う」ことに気づかされると、更に恐怖感が増すはずです。学校や職場という閉ざされた空間で、よくお目に掛かるいじめとかそうでしょう。
一生懸命、同じにしなきゃと頑張っている女の子の集団とか。
そういう心理を上手く使ってあげると、怖さを演出できるはずです。
ぜひ使ってみてください。
(イマジネーション2)
ランチタイム。
行き付けの定食屋にいつものランチ仲間と入るあなた。
皆、Aランチを注文する。
あなただけBランチ。
仲間との談笑。
テーブルに並べられるAランチ。
「じゃあ、お先に」
「うん、どうぞ!」
その瞬間、一斉にお皿に顔を近づけて犬食いし始める“仲間達”。
「!」
イマジネーション2では、お箸を使う習慣がなくなったらのバージョン。
出来れば、Aランチは不気味な食材がベスト。普段食べないような気色の悪い生肉とか…。
その後の展開としては、
あなたの前に置かれるBランチ。
これまた普通ではない料理。
「!」
「どうしたの? 食べないの?」
訝しげにあなたを見る“仲間達”。
……後は、想像におまかせします。
日常が少しだけ歪んだ時の恐怖。
ぜひ使ってみるといいですよ。
ホラー書いてみようかなぁって、今一瞬思ったでしょ。
ほら右手、疼いてきたんじゃないですか。いい傾向です。
では、また次週、絶対にお会いましょう。
繭
|